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単細胞生物と多細胞生物
 

 「細胞は生命の基本単位である」という考え方は細胞の授業ででてきましたね。
私達の体は細胞という単位のよせあつまりでできています。たくさんの細胞の集まりだから、多細胞生物といわれる、、、わけですが、それは本当に正しい定義なのでしょうか。
私達の体は単にたくさん細胞があるだけ、なのでしょうか。

 単細胞生物として、ゾウリムシを考えてみましょう。ゾウリムシの体の中には様々な細胞小器官があります。
私達の口にあたる細胞口、そこから入ってきた食物を消化する食胞、運動のための繊毛、水分調節のための(注:授業では「浸透圧調節」と言ってます。ホームページに載せるために言い方を変えました)収縮胞、それから核は大核と小核にわかれています。ゾウリムシは時々ゾウリムシ同士で接合して、核の情報を交換して若返りをはかります。接合しないで分裂だけで増えようとしても、分裂回数には限界があるのですが接合すればその回数をリセットできるのです。それが若返り。接合の時互いに交換するのは小核です。つまり小核は私達の生殖細胞と似た核なのです。ゾウリムシはたった一つの細胞で生活しているわけですが、その細胞の中では私達の体と同じように様々な機能分担がおきているのです。
 さて、多細胞生物として、自分自身であるヒトを考えてみましょう。ヒトの体もいろいろな細胞でできていますね。皮膚は外界との区切りになっているし、筋肉は運動するのに役立ってるし、胃や腸では消化液が分泌されたり栄養素の吸収がおきてたりします。ゾウリムシと私達は同じように、体の構成要素が様々な機能を分担しているのです。
 この「役割分担」のことを分化、といいます。細胞内器官や細胞が様々な形態・機能をもつようになること、これを分化といいます。

 単細胞生物、多細胞生物の中間生物はいないのか?いますね。それらは細胞群体といわれます。細胞群体は「単細胞生物が分裂したときに解離せず、そのまま集合したもの」と定義されています。
 クラミドモナスという緑藻がいます。これは単細胞生物。これが16個集まったらパンドリナ。クラミドモナスが数千個集まったらボルボックスです。パンドリナは役割分担が薄くて、一個の細胞を切り離してもその切り離された一個は生きていけます。ところがボルボックスで切り離された一個の細胞は生きられないのです。ボルボックスの細胞は生殖、消化など各細胞が役割分担をしているので、おそらく一個では生きにくいのでしょう。私達も怪我して皮がむけたら、その皮から人間ができたりしないですもんね。皮は死んでしまいます。
 そうすると、「ボルボックスは多細胞生物でもいいのでは?」と思えてきませんか。でも、細胞群体、なんです。
なぜならボルボックスを構成しているのは、いろいろな大きさのクラミドモナスです。大きさこそ違え、形は同じ細胞達です。高度な役割分担、ということを言ってしまえば、ゾウリムシの細胞内器官だって高度な役割分担をしているので、単細胞生物、多細胞生物を分かつ基準として「役割分担」は100パーセントつかっていいものではないのです。
 私達、多細胞生物の細胞は機能だけでなく形も異なります。結局、細胞群体と多細胞生物を分かつ重要な基準は「形態の分化」なのです。

 さて、ここから「動物・植物の組織」という単元に入ります。今は遺伝子工学など発達していて、こういう観察主体の地味な単元は敬遠される傾向にあります。医学部や歯学部での基礎生物学実験として、この「観察してスケッチ」ということはホント、嫌われてます。でも、今までの話ですこしは「形をみること」の重要性を感じてくれましたか。
多細胞生物を知る、ということの最初のてがかり、それが「組織」なんです。
 組織を観察する、というのはそれこそ「こういう形のものが理屈抜きに存在する」ということを知ることです。こういうものがあるんだ、ということを知ることは大事なんです。「へぇ、細胞にはいろいろな形があるんだなぁ、生物の形っておもしろいなぁ」と思うこと。その形をつくっている遺伝子って、何だろう?この形はどうやって発生してくるんだろう?そう考えていくことができればこのあとの生物の勉強がだんだん面白くなってきます。


 
 
 


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